【A】 3/21(水祝)「 ある詩のけしき 」
ことばをあじわう、という企画は、このお二人が一緒に何かやりたいと話をしていたことから、生まれました。
もともと、浅岡さんのカリグラフィーでつくられた掛け軸を、カジタさんがお茶会などにつかっていらっしゃって...
そのお二人の関係性や共鳴している部分にも興味を惹かれて、企画させていただくことにしました。
・浅岡千里(カリグラフィー)
彼女の手から生み出される線は、リズムに乗るように軽やかに自由、
ときにエッジを描きながらシャープに、文字を刻んでいきます。
それは1枚の絵のようであり、連なっていく音の調べのよう...
カリグラフィーは、文字を美しく描く、職人的な気質に、その言葉のもつ意味や
想いを深く豊かに表現していく作家の美意識が合わさり、はじめて完成します。
今回は、1つの詩をモチーフとした、カリグラフィーによる場の演出も見どころとなります。
文字の世界に身を委ねる時間となることでしょう。
◎浅岡千里
ああ、この言葉は今この瞬間から私に寄り添い、共に生きてくれるのだなぁ...と
感じられる至高の時がたまにあります。
本をめくった瞬間に、言葉と何故かフォーカスがピタッと合い、自然と引き寄せられてしまう...
そんな不思議な感覚です。
描くことは「或る記憶を記すこと」と考えます。
アルファベットの形に潜む「音」と「記憶を記録する・伝えること」ことの
関係性に魅かれ、その成り立ちを学びつつ、表現への移行させています。
詩の中に存在する様々な記憶と感情が曖昧な文字の形として浮遊しているような
作品を好んで描きます。
読まれるための線ではなく、鑑賞者の感情に直接触れるような線を描きたいと
思っています。
ラテンアルファベットのカリグラファー。
ブログ: with gentle words
http://withgentlewords.blog81.fc2.com/
・coffee Kajita 梶田智美(洋菓子)
彼女のつくるお菓子は、同じ場所に留まることはなく、改良されながら少しずつ
進化していくように感じます。いつもその味の多様性に驚き、感覚を刺激される気がしています。
それは、食材に対して、自身が経験した上で、感じたことや学んだこと、考えたことに対して
静かに耳を傾け、対話を繰り返していく中で生まれていくといいます。
今回はまた1つの詩をテーマとして、お菓子を通して、どのような表現してくれるのかが楽しみです。
味と食感に多様性と必然性があり、かつ統合がとれている
そんな菓子をつくりたいと祈ります。
形や質感はそれらがおのずと現れ出た結果であり、その実直な姿が
映し出されると信じます。
食材に対して、どのようなささやかな事柄でも、自身が経験した上で
感じたことや学んだこと、考えたことに対し、静かに耳を傾け、
対話を繰り返しながら行動に移し、日々それらを積み重ねる事を
大切にしています。
これらの行いを通して、食材への尊敬が、形になって表れてほしいと
祈りながら、この試みは私のささやかなありかたです。
コーヒーカジタ 梶田智美
レストランやパティスリーで修行後、
喫茶店でパティシエとして勤務
途中、カフェや自家焙煎店でアルバイトも
2003年仏留学。現在、茶道も勉強中。
コーヒーカジタ
【B】 3/25(日)「 こぼれるばかりの欠片を繋ぐ 」
・カトウユカリ(アッサンブラージュ/記憶の欠片・鉱物)
忘れ去られた記憶のかけら、そこはかとなく感じられる気配の集積。
彼女の手を通してつくられるものは、小さな光を静かに放ちながら、
時間と時間の隙間にひっそりと佇んでいます。
もともと彼女は、古きものやアンティークのパーツなどを用いて、
オブジェやアクセサリーなどを制作されています。
その独特の世界観そのままに表現された作品には、彼女がこの世界で
美しいと思う、美意識の断片がこめられています。
◎カトウユカリ(記憶の欠片・鉱物)
記憶の欠片をつなぎ、かさねる作業を繰り返す。
匂う、触れる、耳をすます、そこに残存する微かな
ケハイをなぞり、再構築する。
・bonnieux ボニュ(フランス菓子)
bonnieuxさんのお菓子は、正統派のフランス菓子でありながら、独自の世界観で、
いつも美味しさのその先に連れ出してくれます。
こんな味かとイメージしているところを軽々と裏切ってくれる。
その意外性が、bonnieuxさんの遊びゴコロ。
パッケージやお菓子の見た目はもちろん、味覚や食感など、五感が豊かに刺激される
お菓子です。
◎bonnieux
愛知の端っこ、小原の山の中でフランス菓子をつくっています。
よう心がけています。パッケージ含め、
instagram @bonneiux41
【C】 4/1(日)「 月夜の浜辺 / ラムネ教室 」
もともと、お二人であたためていた、この企画について話を聞く機会があり、その実現をお願いすることとなりました。
1つの詩からイメージされるモチーフを、石原さんが陶器でオリジナルの型を制作し、その型をつかって、なのさんが
ラムネをつくるワークショップをしてくれます。手を動かしながら、詩の世界をあじわっていただけます。
・石原ゆきえ(陶器)
石原さんの器は、内側からふんわりと膨らんでいくような、ゆったりとした雰囲気と、
それでいて、輪郭線がキリっとしているのがとても印象的。
手にしたときに、なによりも寛容されているという、安心感を抱きます。
日々の生活に、静かに寄り添ってくれる器のように感じます。
今回は、はじめてお菓子の型を制作してくれます。
◎石原ゆきえ
・なの(和菓子)
なのさんのお菓子には、いつも和歌や俳句など、ことばが添えられています。
ことばに呼応するように、季節のうつろいを感じ、詠み人の想いが表現され、美しく彩られたお菓子。
その味の美味しさはもちろんのこと、口にするたびに、和菓子との距離感がとても身近なものになっていくよう。
今回は、詩をモチーフとした、ラムネづくりをするワークショップです。
作業の後の、生菓子も楽しみです。
◎なの。nano。
小さな単位を表すnano。
和菓子っていいなと感じてもらえる、
なの単位の小さなきっかけを作ることができたら、
京都で、日本の文化史を学ぶうちに、
もっと和菓子の居場所を広げたいと思うように。
季節の気配や名残を感じながら、和歌や俳句とともに、
イベントを中心に茶菓を紹介。